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【フラックスとヤニの違い?】はんだ槽の工程を踏まえつつ解説!2018.06.23

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目次

ブログ担当Xです!
今回は、基板実装のはんだ付けでよく耳にする「フラックス」「ヤニ」についてご紹介いたします。
 
 

「はんだ付けにはフラックスが重要~」
「ヤニ入りはんだを使えばはんだ付けがしやすい~」
 
 
といった言葉を耳にした方もいるのではないでしょうか。
はんだの特性、そしてフラックス・ヤニの目的を含めて本記事でご紹介いたします!

 

●そもそもフラックス・ヤニとは何か

 

上記は主に手はんだ付けで補助使用される、コンパクトサイズのフラックスです。
フラックスは「塩化亜鉛」「塩化アンモニウム」「精製水(アルコール等)」を多く含んだ液体で、その成分により不純物の洗浄やはんだの酸化防止に役立ちます。
ヤニは「松脂(マツヤニ、松ヤニ)」の略で、松脂に含まれる「ロジン」を主に使用しています。
ロジンははんだ付け以外に「滑り止め」「コーティング」などの「膜による保護」を中心とした利用がされています。

 

※タバコの「ヤニ」はタール成分の事を指すため、はんだ付け用語の「ヤニ」とは無関係です。

 

どちらも元となる物質は「松脂」であり、目的は「酸化防止、洗浄、きれいな半田付け」です。
フラックスは”液体”、ヤニは”固体”と考えれば覚えやすいですね。

 

以下は手はんだ付けで使用する糸はんだです。
糸はんだには「ヤニ入りはんだ」と呼ばれるものがありますが、これはその名の通り糸はんだにヤニが塗り込まれているものを指します。

 

 

 

続いて糸はんだの中身です。
中央に空間があり、その中に固体のヤニが練りこまれています。

 

 

 
 

  

 

 
 
●フラックスを使う場面

フラックスが最も重要視されるのはやはり”フローはんだ”工程でしょう。
フラックスはその性質上、はんだが溶ける温度に達するとすぐに気化してしまいます。
 

常時高温のはんだ槽内ではフラックスはどんどん蒸発するので、前工程に「スプレーフラクサー」装置を置いてはんだ槽と分離しています。
常に熱する必要のある「はんだ」と、はんだ付けのタイミングだけ熱したい「フラックス」を、こうして使い分けているわけです。
 

 

フローはんだだけでなく、手で半田をつける手はんだ付け工程においてもフラックスは利用されます。
はんだの馴染みを良くするだけでなく、一度付いたはんだを取り除く際にも軽く塗布します。
糸はんだに含まれるフラックス量はそれほど多くないため、小型のチップ部品などを付ける場合は糸はんだのヤニだけでは足りなくなる事も。
その場合は前述した「油ひき」のような道具で半田付けする箇所にフラックスを軽く塗ってからはんだ付けします。


 
表面実装(SMT)工程におけるクリームはんだにも当然フラックスが入っています。

液体のフラックスに粒状のはんだが練りこまれて”粘度のような粘着性”を持っています。
(役割はヤニ入りはんだと似ています)

 

 

固形状態がヤニ入りはんだ
若干粘着性があるのがクリームはんだ
液状のものがフラックスで、それに使用する半田は「ヤニ入りでないはんだ」
 
 
 
上記のように覚えると分かりやすいですね。

このように、はんだ付けにおいて、フラックスは切っても切り離せない関係といえるでしょう。
また、クリームはんだは常温管理ではフラックス成分が気化しやすいため、暗所・冷所にて保管しています。

 

 

●はんだの特性

ではどうしてフラックスが必要なのでしょうか。
それは”はんだの特性”に大きく起因します。

近年のはんだは大抵”鉛フリー”と呼ばれる、鉛成分がゼロに近いはんだを使用します。
このはんだは自身の持つ「表面張力」によって丸くなろうとするため、そのままではうまく半田が付きません。
飛び散った半田が”半田ボール”として丸くなるのはこの特性のためです(以下図参照)

 

 

 

また、不純物や酸化物がある場所でのはんだは非常に付きにくく、これらを洗浄する役割がフラックスに備わっています。
はんだ付け後は、フラックスの膜によって全体を覆う事で酸化防止も行っています。

 

フラックスやヤニは特性上燃えやすいため、熱が強すぎると基板へのダメージやフラックスの気化が、熱が弱すぎるとはんだが正常に馴染まなかったりします。
使うはんだや基板の状況、生産環境によって適切な温度を設定することが、キレイな半田付けへの道となります。
フラックスの特性をまとめると以下のようになります。
 
 

フラックスは基板の洗浄、酸化物の浄化を行う。
フラックスは、はんだの「表面張力」の性質を緩和し、はんだを馴染みやすくする。
フラックスは、はんだ付け後に膜を形成し、酸化を防止する。
 
 
 

 

●フローはんだの仕組みと構成

フラックスは蒸発しやすく、はんだ槽は常に高温のため、これらを共存させることは理論上できません。
そのためこれらを【別々の設備で分離して工程を分ける】ことで、お互いの特性を無駄なく利用しています。

 

 

●フラックスを吹きつける装置「フラクサー」

 

基板の不純物を落として浄化し、はんだが付きやすくなるフラックスをこの装置で塗布します。
フラックスの塗布量は基板の状態、アートワークにもよりますが、コンベアのスピードや塗布量を機械で調整できるようになっています。

 

 

●はんだ付けをする装置「はんだ槽」

 

ヤニの入っていないはんだが液状になったプールがはんだ槽です。
この状態のはんだはフラックス・ヤニが含まれておらず基板に馴染みにくいですが、この前工程のスプレーフラクサーでフラックスが基板に塗布されているので、問題なくはんだが馴染みます。
使用するはんだは”インゴット”のような以下の形となっています。
 

 関連項目:フローはんだとは?しくみと不良の出にくい設計を徹底紹介!

 

 

 

 
 

 


 
●その他の設備のはんだ付け紹介

 

上記のポイント半田槽は、通常のはんだ槽と同じく「フラックス」「はんだ」がそれぞれ機械にセットされており、はんだ槽と同じ条件で指定した箇所にピンポイントではんだ付けが行えます。
機械的な基板実装をしたいけれど、特定の場所以外にはんだをつけたくない…という場合にオススメの設備です。
メンテナンスも通常のはんだ槽よりは簡単で、スペースも大きく取りません。
 
 

 関連項目:【次世代のはんだ付け】ポイント半田槽の効果事例紹介

 

 

●それぞれの手法の特徴

 

フローはんだは効率よく大量に基板実装をすることに向いていますが、反面、ベルトコンベアに乗せられるサイズには限界があり、臨機応変な対応が苦手です。
しかしながら「同じ条件でロット生産できる」という事は品質面で非常に心強く、イレギュラーが発生すればすぐに気づく事ができます。
(全部のはんだ付けがNGなら機械の問題、一部のはんだ付けがNGなら特殊な処理か、修正作業での問題…等)

 ■安曇川で対応可能な基板サイズは【こちら】

 
 
 

一方、ヤニ入り糸はんだを用いた作業は維持コストがかからずピンポイントではんだ付けできますが、人のスキルに左右されやすく、時間がかかるため大量生産に向いていません。
ベテラン作業者が退職すると品質が急に下がったり、新人を教育するにも一日一夜では到底不可能。
  
 
また、人は機械ではありませんので、行う作業1か所ごとに必ずクセが出ます。
手半田付けで大量生産を実施した場合、不具合の傾向性や波及範囲が特定しにくく、全数再チェックなど多くの工数が掛かります。
 

デメリットばかり書きましたが、その分メリットも多く存在します。
基板の大きさや半田の種類で設備の制限・調整を受けること無く、維持コストもほぼ不要。
すぐに作業に取り掛かれるので、少数ロットや試作の場合はトップクラスの対応力を持ちます。

 
 
 

お見積りのご相談時、年間生産数や基板サイズなど細かくお伺いするのは、最もお客様に安く・確実に・良品をご提供したいからに他なりません。
お客様の予算や理想に最も近い体制で生産を受注いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

 

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 関連項目:部品実装とは?SMT工程を分かりやすく解説

 関連項目:手はんだ付けとは?デメリットやメリットについて

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