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こんにちは。
安曇川電子工業 購買担当のヤツダです。
今回は購買担当の私が、量産用部品を調達するときにしばしば起こる問題についてお話ししたいと思います。
採用する部品を選ぶときに判断材料の一つとして見てもらえると、
量産開始後に起こる問題を減らすことができるかもできません。
●【選定した部品のせいで、調達で起こるかもしれない問題】
私の主な業務の一つに、お客様の新製品に使用する電子部品のお見積りがあります。
お客様が選定した部品の、納期・価格・MOQ(発注できる最低数量)を
部品メーカーの代理店である部品商社に問い合わせて部品見積りを行います。
部品の価格を問い合わせてお見積りを作るといっても、
部品の「納期」「価格」「入手しやすさ」などにそれぞれ気を付けるべき点が多くあり、
ただ部品の単価だけを取り出してまとめるというやり方では、
その後の製品の製造に大きな問題が発生することあります。
そのため、部品のお見積もりに際してはお客様の事情に合わせて、
代替品の提案などもさせて頂いております。
以下では実例を交えて、部品選定で発生しやすい問題を紹介いたします。
●【選定部品により引き起こされるリスクのある問題】
その①【納期の問題】部品納期が長いほど、コストリスク大!
高単価で複雑な部品は長納期になる傾向にありますが、
他にも同じシリーズの部品でも一般グレードでない受注生産品を使う場合なども
納期がかかることがあります。
また、一部の海外メーカーでは、積層セラミックコンデンサなどの安価な部品でも
納期が半年を超えるものがあります。
例えば、、、
●海外メーカーの単価の安い部品を選んだが、標準納期が半年だったので、
常に半年分の部品在庫を抱えなければいけなくなった。
●納期が7か月の部品を選定したため、
製品立ち上げ・量産初回に正規代理店を通した正規品の調達ができなくなった。
そのため流通部品を使用せざるを得なくなり、
部品代が正規ルート調達時の数倍かかってしまった。
(通販サイトの部品は少量を短納期で購入できますが、
商社経由で購入するよりも基本的には割高です。)
などの問題が発生します。
製品の仕様や販売計画があるため、
ある程度許容しなければならないことは多いと思います。
ただ、入手性があまりにも低く代替品の採用が可能な場合は、
こちらから価格・納期などを考慮しながら生産がスムーズに
進められる代替品の提案をさせてもらうこともあります。
その②【単価の問題】古い型式部品は、コストリスク大!
産業機器メーカーは民生機器メーカーよりも商品寿命が長いため、
バージョンが少し古い部品を採用されていることがよくあります。
例えば、2年後に生産が終了する予定の部品を採用してしまった場合、
その部品の生産が終了した時に代替品を探すことになります。
もし性能や部品の形状が同じ部品が見つからなかった場合は
基板の改版が必要となり、イニシャル(初期費用)などが再度発生してしまうことになります。
多くの部品は小型化が進んでいますので、
現在採用している部品の後継品を使おうとすると、
基板のパターン変更になってしまうことも十分考えられます。
最近よく目にするのは、
大きいサイズのコンデンサを採用されてしまっているということです。
図以下のグラフはMLCC(積層セラミックコンデンサ)のサイズ構成比率です。
引用 村田製作所 さらなる小型化や高密度実装化に貢献するチップ積層セラミックコンデンサ
URL https://article.murata.com/ja-jp/article/middle-case-size-bridges-mlcc-miniaturization-path
「0603M」は、0.6mm×0.3mmのサイズの部品、「1005M」とは1.0mm×0.5mmのサイズの部品という意味です。
大きなサイズの部品は軒並み、構成比率が下がっています。
企業向け製品ではスマートフォンなどに使用されているような、
極小サイズのコンデンサを使用する必要はないことの方が多いですし、
産業機器のお客様が多い弊社でも0603㎜サイズよりも小さい物を実装することはあまりありません。
ただ、コンデンサも小型化が進んでおり、
静電容量の制限があって大きいサイズしか作っていない型式のものを除くと、
大きいサイズは徐々に生産終了予定になり、単価も上がっています。
日本でよく採用される村田製コンデンサは1608㎜サイズを続々と生産終了予定にしており、
そうなった型式は見積もりを取ることができません。
そうなると代替品を探すしかないのですが、
同じサイズのものを使おうとすると、
静電容量や温度特性の部分で必要以上の性能上位品しかなく
単価が数倍になることもあります。
弊社では、村田製1608㎜サイズの同等品として使用できる海外メーカー品の提案もしております。
しかし、いずれはそれもより小さいサイズに変わっていくものですので、
新規設計時には1608㎜ではなく1005㎜や0603㎜の採用を検討することが
長期的には製造コストを低く抑えるためには必要かもしれません。
その③【MOQの問題】単価と、最小ロットのバランスに注意!
最後にMOQ(発注できる最低数量)についてですが、
これは海外メーカーの部品で良く見受けられます。
先ほどのコンデンサでは、村田製であれば購入単位は基本1リールです。
しかし、海外メーカー品は単価は安いけど購入は5リールから、
もっと多いと10リールからというようなものもあります。
それを知らずに採用してしますと、
一年で5,000個も使わないのに初回購入で150,000個、
30年分も購入しないといけないというようなことも起こります。
コンデンサなどであれば単価が0.1円ほどしかしないものもありますが、
それでも1種類の部品を買うのに15,000もかかってしまいます。
ICなどでは、1個300円するのに2500個からしか買えないものなどがありますので、
大量生産することない産業機器では、大きな在庫を抱えないといけないリスクもあります。
以上、納期・単価・MOQの面から採用部品の選定時発生するリスクについて、お話させて頂きました。
新製品の立ち上げという慎重さとスピードの両立が求められる場面で、
確実に不安点を潰していくには、部品の採用についても様々な角度から検討する必要があると思います。
電子部品のコストや代替品の選定に課題を感じておられましたら、
ぜひ、一度安曇川電子工業までお問い合わせください。