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【安全管理】不安全行動はなぜ起きるのか? ハインリッヒの法則から紐解くQCパトロールの重要性2026.10.15

― こちらは、2026年5月20日公開の記事に、加筆、修正し、再編集したものです ―

 

こんにちは。アドガワエレクトロニクスの公式ブログへようこそ

車を運転している際、前方を走る車両が方向指示器(ウインカー)を出さずに突然右左折し、ヒヤリとした経験はないでしょうか。個人の交通マナーとして捉えられがちなこの現象ですが、その根本原因を分析すると、製造現場で発生する「ルールの形骸化」や「確認手順の省略」と同じ心理構造だと分かります。

本記事では、ウインカーを出さない心理を「ハインリッヒの法則」に基づいて分析します。その上で、人間が避けられない「慣れ」という課題に対し、当社が基板実装の現場で取り組む「QCパトロール(現場巡視)の本質」を解説します。

 

 
 

環境がもたらす「省略の心理」とその構造

 

豊かな自然に囲まれた滋賀県高島市に拠点を置く当社では、公共交通機関の路線や運行本数が限られているため、従業員の多くが自家用車で通勤しています。

 

 

市内の見通しが良い道路を歩いていると、方向指示器を出さないまま車線変更や右左折を行ったり、曲がる直前に合図を出したりする車両を見かけることがあります。

 

 

日本自動車連盟(JAF)の「交通マナーに関するアンケート」調査によると、合図の使用状況には地域ごとの傾向差が存在することが報告されています。しかし、これは単なるモラルの問題ではなく、置かれた「環境」が人間の認知や行動に及ぼす影響の結果と考えられます。

 

 

交差点で対向車や歩行者と遭遇する頻度が少ない環境に長時間適応すると、人間の脳は「合図を出す手間」を過剰な負荷と認識し、周囲への意思表示行動を無意識に省略し始めます。この省略行動が繰り返されると、実際に他者が存在する場面でも「曲がる直前まで出さない」「出すこと自体を忘れる」といった不安全な自動化エラーを引き起こします。

 

 

周囲からの「監視の目」が少ない環境こそが、必要な安全手順をスキップさせる要因となります。

 
 

ハインリッヒの法則が示す「水面下の不安全行動」

 

この心理現象は、労働安全管理の代表的な指標である「ハインリッヒの法則」と同一の構造を持っています。ハインリッヒの法則によれば、1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故が存在し、さらにその深層には300件の「ヒヤリハット(傷害に至らない不安全行動・不安全状態)」が隠れています。「方向指示器を出さないこと」や「製造現場での確認省略」は、この基盤を形成する300件の不安全行動に該当します。

 

 

人間は「手順を省いても問題が発生しなかった」という不適切な成功体験を重ねることで、不安全な操作を受け入れてしまいます。基板実装の現場においても、指差呼称や外観検査の手順をスキップし、「たまたま品質不良が出なかった」という状態が放置されると、作業基準そのものが形骸化します。重大な事故や品質不適合に繋がっていない「偶然助かっている300件の不安全行動」が潜伏することこそ、管理上最も注意すべきリスクです。

 

 

当社も例外ではありません。過去には日常業務の慣れから、標準手順の逸脱やヒヤリハットが発生した事例が存在します。「自社の現場は遵守できている」という根拠のない思い込みを排除し、過去の事例やヒヤリハットデータベースを厳格に分析して対策を講じてきました。

 
アドガワエレクトロニクス(製造業)でヒヤリ・ハット事例を共有し安全対策を話し合うためのデータベース。

 

 

そのため当社では、人間の「慣れ」や「無意識の簡略化」を定期的に補正し、300件の不安全行動を初期段階で検出・改善するため、半年(180日)周期のQCパトロール(現場巡視)を継続して実施しています。

 

 
 

属人性を排除し、組織の仕組みで品質を守るQCパトロール

 

QCパトロールの役割は、自社現場の「基準のずれを正す作業」に例えられます。毎日同じ作業環境を見ている当事者は、細かな手順の緩みや変化点に気づきにくくなります。第三者の客観的な視点を投入することで、初めて作業基準からの微小な逸脱を明確に特定できます。

 

 

また、QCパトロール自体の運用においても、形骸化を防ぐ仕掛けが必要です。

 

 

当社では、巡視担当者の定期的なローテーション制度や他部署による「360度評価」の視点を組み合わせることで、監査体制そのものの形骸化を防止しています。

 

 

 

「人間は環境に適応すると確認作業を省く傾向を持つ」という前提に立ち、これを作業者の裁量や個人の意識に委ねるのではなく、「標準化された管理の仕組み」で防止する。これが、アドガワエレクトロニクスが展開する品質保証体制の基本原則です。

 

 
 


 

本記事の内容をさらに深く理解するために、ぜひ以下の記事もご覧ください。関連するトピックや補足情報、より包括的な知識を掲載しております。

 
▽【改善事例】内部監査の品質向上|「360度評価」で実現するPDCAサイクルと効果

アドガワエレクトロニクスが実践する内部監査の事例を開示しています。品質管理部門主体から「360度評価」へ移行し、現場の課題発見能力を高める仕組みを記述しています。2024年の不適合検出件数の推移(2件から15件への増加)を潜在リスクの可視化と捉え、品質改善に繋げた具体的プロセスの記録です。

内部監査の対象となる製造現場。従業員が働く現状を捉え、理想の状態とのギャップである問題点を探る様子をイメージした写真

 
 
▽ 製造業の安全管理に役立つハインリッヒの法則とは? 労働災害防止と安全管理の実践法

現場責任者や品質保証担当者向けに、製造現場の不安全行動を削減する構造的手法をまとめています。ハインリッヒの法則をはじめ、3H・4M管理やなぜなぜ分析の実装手順を整理し、実効性の高い安全活動へ導く手法を提示しています。

 
 


 

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