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こんにちは! アドガワエレクトロニクスの公式ブログへようこそ。
製造業や設計受託の現場において、「経営方針が現場に浸透しない」「現場の切実な課題が経営層に正しく伝わっていない」といったコミュニケーションエラー(断絶)は、生産性や品質に直結する重大な課題です。
・トップのビジョンが現場に届くまでに形骸化している
・部門間の壁が厚く、全体最適よりも部分最適が優先される
・現場の改善提案が「不満」として処理され、経営改善に繋がらない

このような「見えない壁」は、組織の成長を阻むサイロ化の兆候です。本記事では、組織のギャップを埋め、各部署を有機的につなぐ概念「連結ピン(Linking Pin)」に注目します。
ミドルマネジメント(中間管理職)に期待される役割を紐解くとともに、私たちアドガワエレクトロニクスがこの考え方をベースに実践している「ボトムアップ活動」や「チームビルディング」の具体例をご紹介します。


ボトムアップ活動やチームビルディングはいずれも、机上の理論だけでなく私たちが悩みながら改善し、実践してきた記録です。貴社の組織にも通じること、活かせることがあるかもしれません。ぜひ最後までご覧ください。
目次
組織の縦のライン(階層)と横のライン(部門)との連携、展開を強化する上で、ミドルマネジメントの在り方は極めて重要です。
「連結ピン」とは、組織心理学者レンシス・リッカートが提唱した組織構造の概念です。中間管理職を単なる「上意下達のパイプ役(情報伝達役)」とするのではなく、上位組織と下位組織の両方に属し、双方を繋ぎ止める接合点(ピン)として定義します。

意思決定の迅速化を狙った組織のフラット化は、時にこの連結機能を弱体化させ、トップと現場の乖離を招く副作用を生んできました。製造業のように専門性が細分化された組織こそ、この「連結ピン」機能の再構築が求められています。

連結ピンとしてのミドルマネジメントは、経営層からの情報をそのまま現場従業員に流す「パイプ役(情報伝達役)」ではありません。連結ピンとしてのミドルマネジメントには、言葉や解釈の「翻訳能力」と「調整能力」が期待されています。
| 項目 | パイプ役(伝言・伝達) | 連結ピン(翻訳・調整) |
|---|---|---|
| 情報の扱い |
・経営層、現場従業員の言葉をそのまま伝達 ・相手を考慮した翻訳や調整を行わない |
・相手の理解度や立場に合わせて変換する ・理解を妨げる専門用語を砕いて説明する |
| コミュ二ケーション |
・表層的な情報の往復のみ ・事実関係の伝達に終始する |
・背景や「なぜやるか」を汲み取る ・双方向の対話で納得感を醸成する |
| 組織への影響 |
・現場に誤解や反発が生じやすい ・「上層部はわかっていない」という不満 |
・信頼関係に基づき現場の意欲向上 ・組織としての一体感が生まれる |
経営層の掲げるビジョンや数値目標を、現場の言葉で要点化します。経営判断の理由や期待効果を現場の言葉や内容に整理することで、抽象目標が具体的作業に変わり、即時の行動につながります。
また、情報伝達にとどまることで発生する意識のズレを抑制し、納得感を高めます。翻訳・調整が入ることで、経営と現場の相互理解が深まり、継続的な改善意欲を促します。

現場視点の仕立て直しは、製造現場から上がる不満や技術的課題を、感情的な訴えのままにせず、コスト・品質・納期(QCD)に基づく経営課題の解決案として整理・提示するプロセスです。
現場の声を経営判断につながる具体的な提案に変換することで、現場の問題提起が経営の意思決定に直接反映されやすくなります。

ミドルマネジメントが連結機能を果たすためには、現場側からの質の高い情報発信も欠かせません。
アドガワエレクトロニクスでは、現場主導の「小集団改善活動」を推進しています。特徴的なのは、活動の成果を経営層に対して直接プレゼンテーションする機会を設けている点です。

経営層が現場の創意工夫に真摯に耳を傾ける場を作ることで、従業員は「自分たちの声が経営を動かしている」という自己効力感を実感し、組織への信頼を高めます。
現場の声を届けるには、曖昧な表現を排した「言語化」が必要です。「効率を上げる」ではなく「どの工程のリードタイムを何分短縮するのか」という具体的な共通言語を持つための訓練として、当社ではグループ討論を中心とした能動的学習(アクティブラーニング)を取り入れています。

言葉が具体的になるほど、経営層との議論の質は向上します。
活発な意見交換の土台となるのが「心理的安全性」です。これは単なる馴れ合いではなく、「建設的な批判や失敗の報告が、個人の評価を不当に下げない」という組織の規律を指します。

この安心感があって初めて、部門を超えた率直な対話が可能になります。
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現場主導のボトムアップ活動が加速!中間発表で見えた、組織力を飛躍させる人材育成の秘訣
アドガワエレクトロニクスが推進する「現場主導のボトムアップ活動」中間発表会レポート。組織の壁を越える「心理的安全性」の確保、能動的学習と「言語化」の徹底が、従業員の当事者意識とチームワークを育み、組織力を飛躍させます。

組織の課題は、階層間(縦)だけでなく、部門間(横)にも存在します。
設計、製造、品質保証など、各部門が専門性に基づく「正論」を主張し合うと、時に感情的な対立を招きます。当社では、他部門の提案を「まずは期間限定で試してみる」という「チャレンジデー」のような歩み寄りの場を設けています。

一度相手のやり方を受け入れる姿勢が、サイロ化した組織を解きほぐすきっかけとなります。
組織連携の基礎を学ぶため、当社では「ストロータワー」を始めとするチームビルディングワークを行っています。

高いタワー(高い目標)を作るには、個々の技術だけでなく、完成図(ビジョン)の共有と役割分担が不可欠であることを再認識する機会となっています。

「遠くまで行きたければ、皆で進め」という格言通り、組織全体が同じ方向を向くための仕組みづくりを重視しています。

組織活性化に即効薬はありませんが、以下の3点を軸に改善を重ねることで、組織は確実に変化します。
・連結ピン(ミドル層)による言葉や意図の、翻訳と調整
・ボトムアップ活動による現場状況の言語化
・部門間の歩み寄りによる横の連携強化
従業員一人ひとりが「自分たちの行動が組織に貢献している」という実感を持ち、経営と現場が同じ方向を見つめたとき、変化に強い真の組織力が備わります。


アドガワエレクトロニクスでは、技術提供のみならず、ものづくりを支える「人」と「組織」の在り方についても探求し続けています。当社の取り組みが、貴社の組織課題解決の一助となれば幸いです。
・試作から量産への移行でトラブルが多い
・委託先(基板実装会社)との意思疎通に時間がかかる
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アドガワエレクトロニクスがまとめた「技術ハンドブック」には、基板設計・実装におけるコストダウン事例や品質向上のノウハウを多数掲載。量産を前提とした試作の進め方や、VE提案による改善事例もご紹介しています。
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関西・近畿を拠点に、プリント基板・電子部品調達〜基板実装(表面実装〔SMT〕、挿入実装〔THT〕)、コーティング、エージング試験、電気機械器具組立までを一貫提案するアドガワエレクトロニクスです。
このブログでは、「モノづくりから、ものがたりへ」をコンセプトに、製造工程における「技術」と「人」にフォーカスします。品質教育やベテランから若手への技術承継、そして私たちの日常と社内文化をお届けします。
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日々の取り組みを取材し、発信していて強く感じるのは、「顧客満足(CS)」を語る前に、「従業員満足(ES)」が不可欠であるということです。

従業員が自分の仕事に誇りとやりがいを持って働いてはじめて、高品質な製品・サービスが生まれ、結果として顧客満足につながると確信しています。
