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― 本記事は、2024年10月11日のSNS投稿内容に最新の動向を加え、技術的な視点から再構成したものです ―
こんにちは。アドガワエレクトロニクスのブログへようこそ。
目次
製造現場において、製品の品質を決定づけるのは「正確な計量」です。しかし、どれほど高精度なはかりや分銅であっても、使用環境や経年変化による「ズレ」は避けられません。もし、そのわずかな誤差を見過ごしたままネジを締め付けていたり、組み立てていたとしたら ―。

企業の信頼を失いかねない「計測の狂い」を防ぐ唯一の手立てが、計量器の「校正」です。本記事では、ISO 9001(「7.1.5 監視及び測定のためのリソース」)が求める計量計測のトレーサビリティに適合するJCSS校正の重要性から、「ゲージ」と鉄道模型の「Nゲージ」の関係性までを紹介します。
品質管理の根幹を支える「精度維持」の仕組みを正しく理解し、製造現場における「安心」の根拠を再確認してみませんか。

製造現場において、製品検査や工程管理で使用される計量器(はかり、分銅など)の精度を一定に保つことは、品質管理の根幹です。この精度を確認する作業(さらに、偏りや誤差が見つかったときに機器を調整するまでの作業)が「校正(Calibration)」です。

一般に「校正」という言葉は、(1)書籍や雑誌、ポスターなどの印刷物やWeb制作における誤字脱字の修正(校正・校閲)、(2)写真やQRコードの差し替え確認(比較)、(3)意図した色が狙い通りに表現されているか確認する「色校正」の意味でも使われます。
しかし、製造業における校正は、標準器を用いて計量器の示す値と真の値との差を特定し、国家標準へのトレーサビリティ(追跡可能性)を証明する技術的なプロセスを指します。

特にJCSS(計量法校正事業者登録制度)に基づく校正は、国際規格ISO/IEC 17025の要求事項を満たした品質管理体制、高い技術能力を持つ事業者のみが提供できる信頼性の高いものです。
ISO 9001: 2015(「7.1.5 監視及び測定のためのリソース」)では、測定機器を国家計量標準にトレーサブルな基準で校正することが求められています。(国家計量標準にまで校正の連鎖を証明できること)

JCSS認定事業者が発行する認定シンボル付の校正証明書は、その計量器が国家標準に連なっていることの公的な証拠となります。

国際MRA(相互承認)対応のJCSS認定事業者による校正結果は、アジア太平洋認定協力機構(APAC)及び、国際試験所認定協力機構(ILAC)の枠組みを通じて海外でも受け入れ可能です。

製造現場では誤字や脱字の訂正、色校正と同様に、計量器の精度を校正します。製造現場では現在、「ゲージ」の回収と点検を進めています。

ゲージは、長さや重量などの物理量を測る器具の総称で、定規もゲージのひとつです。

製造現場でゲージと総称される計量器(定規、はかり等)は、経年変化や使用環境により必ず誤差が生じます。

そのため、校正周期表に基づいた計画的な管理が不可欠です。


例えば、質量分野のJCSS校正では、以下のような幅広い範囲での対応が一般的です。
10 g〜 1,000 kg(目量0.01 mg以上、つまり天びんが表示できる最小単位)まで、現地または校正室での実施。
現地(オンサイト)校正では、設置場所の環境(重力値や振動)を含めた評価が可能であり、校正室ではより厳密な環境下での校正が可能です。
1 mg〜 20 kg(F1〜 M2級)の範囲における精密な点検。

またゲージと聞くと、鉄道模型の「Nゲージ」を想像する方がいらっしゃるかもしれません。

「ゲージ(Gauge)」という言葉は、計量器だけでなく「鉄道の軌間(左右のレールの幅)」という意味もあります。

これは、工業製品の「規格の標準化」が鉄道網の発展とともに進化してきた歴史を反映しています。
世界で初めて実用化された英国の鉄道において、1,435mmの軌間が採用されました。この数値が基準となったため、1,435mmの軌間が「標準軌([ひょうじゅんき]standard gauge)」と呼ばれています。ただ、すべてのレールが同じ幅というわけではありません。民営鉄道の軌間は大きく4種類に分けられます。
⇒ こちらのページが参考になります。
・民営鉄道のレールの幅は、どの鉄道会社も同じなのですか?- 鉄道Q&A – 日本民営鉄道協会
日本における鉄道の歴史は、1872年10月14日(現在の鉄道の日)に新橋〜横浜間(約25キロ)で開通したことから始まりました。当時の「陸(おか)蒸気(※)」の運行を支えたのも厳格な規格管理と計測技術でした。
※ もくもくと発せられる蒸気に、当時の人々からは陸(おか)蒸気とも。

例えば、鉄道模型の「Nゲージ」は、レール幅が9(Nine)mmであることに由来していますが、こうした「共通の基準」を守る姿勢こそが、現代の製造業における校正業務の精神に通じています。
鉄道の軌間(レールの幅)という共通の基準があることで列車が安全に走れるように、製造現場における計量器の校正もまた、製品の安全と信頼を支えています。
当社では、単に計量器を「使う」だけでなく、それが常に国家標準、ひいては国際標準に連なっている(トレーサビリティが可能な)ことを証明する管理プロセスを極めて重要視しています。

JCSS認定事業者という専門の校正センターと連携し、社内規定にある校正周期を守ることは、私たちがお届けする製品の品質に対する「誠実さの証」でもあります。

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関西・近畿を拠点に、プリント基板・電子部品調達〜基板実装(表面実装〔SMT〕、挿入実装〔THT〕)、コーティング、エージング試験、電気機械器具組立までを一貫提案するアドガワエレクトロニクスです。
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