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― 本記事は、2025.7.16に公開した内容に、新たな情報を加えて修正したものです ―
こんにちは。アドガワエレクトロニクスです。ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
目次
企業のアイデンティティである「社名」を変更することは、事業環境の大きな変化に対応し、新たな成長を目指す「決意表明」に他なりません。

私たちアドガワエレクトロニクスも、2025年5月に「安曇川電子工業」から社名を変更しました。

これは、主力事業である電子部品実装・組立を取り巻く急速な変化に対応し、ものづくりにとどまらない新たな価値を顧客に提供していくという、当社の「ありたい姿」を体現するためです。

社名変更は一方で、既存のブランド資産の継承や、社内外へのメッセージの浸透といった、多くの課題を伴います。
本記事ではまず、他社の社名変更事例からその戦略的な意図を分析します。その上で、私たちのようなBtoB製造業が、新しい社名を通じて企業ブランドを強化し、顧客や従業員との信頼関係を深めるためのCI(コーポレート・アイデンティティ)戦略と、具体的なコミュニケーション設計を紹介します。

社名変更を、成長を加速させる「入口」にするための実例です。ぜひ最後までご覧ください。


過去20年間で約940社もの上場企業が社名変更を行っている事実(日本取引所グループ調べ、2025年7月1日現在)は、社名変更が企業の成長戦略において不可欠な選択肢であることを示しています。その背景にある理由は、大きく4つに分類できます。
目的:統合された組織の一体感を高め、新たな企業文化を構築する。
事例:阪急阪神ホールディングス(旧:阪急ホールディングス)、DMG森精機(旧:森精機製作所)など。

目的:消費者に浸透した製品やサービス名を社名に採用し、企業認知度とブランド力を直結させる。
事例:ZOZO(旧:スタートトゥデイ)、SUBARU(旧:富士重工業)、BRUNO[ブルーノ](旧:イデアインターナショナル)など。

目的:従来の事業イメージから脱却し、今後の成長分野やグローバル展開に向けた決意を社名に込める。
事例:エターナルホスピタリティグループ(旧:鳥貴族ホールディングス)など。
当社の事例:当社(旧:安曇川電子工業)が「アドガワエレクトロニクス」へ変更したのも、この類型です。社名から「工業」を外し、成長市場である「エレクトロニクス」への適応力を示すことで、ものづくりを超えた価値提供への決意を表明しました。
社名変更はポジティブな変化を促す一方で、中長期的な視点でのリスクとコストを考慮しなければなりません。
・長年培ってきた旧社名での業界内の知名度や信頼性といったブランド資産が、一時的に活用しにくくなる可能性があります。
・特にBtoB企業の場合、ウェブサイトやSNSでの情報発信力が一時的に鈍化し、「成長の踊り場」に立つことを覚悟する必要があります。

・名刺、封筒、ウェブサイト、看板、各種契約書の変更、経理システムの改修など、多岐にわたる費用と従業員の手間が発生します。
・これらのコストに対し、社名変更が5年、10年といった中長期的にどれだけの「期待利益」を生み出すか、費用対効果を厳しく検証する必要があります。

・顧客や取引先に対し、社名が変わっても「同じ会社である」という認識をいかにスムーズに継続させるかが重要です。短期間での頻繁な変更や、旧社名との関連性が低い社名は混乱を招きかねません。
社名変更を成功させ、期待利益を最大化するためには、新しい社名に込めた思いを「ブランド」として確立し、強化していく継続的な努力が必要です。その基盤となるのが、CI(コーポレート・アイデンティティ)戦略です。
企業ブランドは、利害関係者の間で形成される類似的・統一的なイメージです。これは次の3つの要素から構成されます。
経営理念や志、それを体現する従業員のあり方。ブランド構築の根幹。

商品、サービスの機能、品質、コストといった具体的な価値。

企業ロゴ、カラー、広告などの企業デザイン。

CIは、企業の存在意義である「パーパス(Purpose)」を中核に据え、それを実現するための経営理念や行動指針(コーポレート・フィロソフィ)によって企業全体を体現する仕組みです。
社名変更は、このCIを刷新し、「私たちは変わった、これからこう進む」というパーパスを社内外に宣言する最高の機会となります。単にVI(ロゴなど)を変えるだけでなく、CIの中核である従業員の意識と行動に変容をもたらすことが、ブランド強化には不可欠です。

新しい社名に込めた決意を、顧客や従業員に浸透させ、企業ブランドの確立・強化につなげるためには、緻密なコミュニケーション設計が求められます。

何を変えたか:新旧社名と事業内容の連続性を説明し、混乱を防ぐ。
なぜ変えたか:社名変更の目的、企業の「ありたい姿」(業態転換の決意など)を明確に伝える。
どう変わるか:顧客への提供価値が今後どのように進化していくかを具体的に示す。
CI強化の要:従業員一人ひとりが会社の向かう先、社名変更の意図を「自分たちの言葉」で語れるようになることが最も重要。
具体的な施策:
・経営層から従業員への直接的な理念・ビジョン共有(トップダウン)。
・新しいパーパスや行動指針を日常業務に落とし込むための研修、ワークショップ。
・社内報やイントラネットを通じた継続的な情報発信。

社内での理解と浸透(インターナル・マーケティング)なくして、社外での信頼獲得はありません。従業員が自信をもって会社の変化を語れるようになることが、新たな顧客との接点創出とブランド確立の鍵です。
社名変更はゴールではなく、企業が環境変化に適応し、次のステージへと進化するための「入口」です。私たちアドガワエレクトロニクスは、この社名変更に、成長期待が続くエレクトロニクス市場への適応力と、ものづくりに留まらない価値提供への覚悟を込めています。

大切なのは、新しい社名に込めた企業理念(CI)を、顧客や取引先、そして従業員との継続的なコミュニケーションを通じて体現し続けることです。社名変更を一過性のイベントで終わらせないこと。言葉と行動を一致させることで、企業ブランドは確立され、より強固なものへと進化していきます。
本記事が、貴社の社名変更やCI戦略の参考になれば幸いです!
社名変更後のCI浸透に欠かせないインターナル・マーケティングについて、さらに詳しく解説しています。
・CI強化とインターナル・マーケティング:組織を動かし、顧客を惹きつける実践法
・試作から量産への移行でトラブルが多い
・委託先(基板実装会社)との意思疎通に時間がかかる
その結果、製造コストが膨らむ
アドガワエレクトロニクスがまとめた「技術ハンドブック」には、基板設計・実装におけるコストダウン事例や品質向上のノウハウを多数掲載。量産を前提とした試作の進め方や、VE提案による改善事例もご紹介しています。
・量産時の失敗コストを削減
・製品価値を高める改善提案のヒントを獲得
・基板実装 委託先選定の判断材料 といった実践的な事例を掲載しています。
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関西・近畿を拠点に、プリント基板・電子部品調達〜基板実装(表面実装〔SMT〕、挿入実装〔THT〕)、コーティング、エージング試験、電気機械器具組立までを一貫提案するアドガワエレクトロニクスです。
このブログでは、「モノづくりから、ものがたりへ」をコンセプトに、製造工程における「技術」と「人」にフォーカスします。品質教育やベテランから若手への技術承継、そして私たちの日常と社内文化をお届けします。
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日々の取り組みを取材し、発信していて強く感じるのは、「顧客満足(CS)」を語る前に、「従業員満足(ES)」が不可欠であるということです。

従業員が自分の仕事に誇りとやりがいを持って働いてはじめて、高品質な製品・サービスが生まれ、結果として顧客満足につながると確信しています。
