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― 本記事は、2025.3.10に公開した内容に、新たな情報を加えて修正したものです ―
こんにちは。アドガワエレクトロニクスの公式ブログへようこそ。
目次
毎年の健康診断。もし社内会場で、診断待ちの長い列に並び、従業員がストレスと業務時間の浪費に直面しているとしたらどうでしょうか? 健康診断の「混雑は避けられない」と諦めていませんか?

この記事では、健康診断の待ち時間が生むコストと、その原因となるボトルネック(制約工程)を特定する方法、そして実際に効果があった改善策をわかりやすく解説します。
アドガワエレクトロニクスが実施した改善事例では、一般的な通説とは異なる「意外なボトルネック」を発見し、考え方を転換することで会場の効率を劇的に向上させました。
・混雑の真の原因を科学的に特定する手法
・当社の事例から見えた意外なボトルネックとその対策
・会場レイアウト設計の考え方。「面積の有効活用」⇒「時間価値の最大化」へ
企業の健康診断で発生する「ムダな待ち時間」を減らし、従業員のストレスと業務ロスを抑えるための実践的な改善事例を共有します。
毎年行う健康診断で、受診者が長時間待たされると従業員満足度の低下や業務時間の損失につながります。多くの健康診断では「混雑は仕方ない」「年に1、2回のことだから」と受け止められがちですが、実際には観測と分析に基づく対策で大幅に待ち時間を減らせるケースが少なくありません。
次からは、混雑の原因を特定し、滞在時間を最小化する具体策を紹介します。
企業訪問型の健康診断で、混雑回避を目的に図られる対策は次の通りです。
・時間分散:受診時間をずらす
・リアルタイム管理:検査項目の混み具合を見て、現場マネージャーが誘導・調整する
しかし、多くの健康診断の現場では、混雑状況を観測・測定することなく(混雑要因を定量的に把握せず)、職員の経験と勘に基づいて人員配置や会場レイアウトが設営されているケースが少なくありません。
健康診断会場の職員に「数分の待ちなら仕方ない」との認識があると、真のボトルネック(制約工程)が見えにくくなります。
ボトルネックとは、「物事がスムーズに進行しない(全体の流れを滞らせる)原因」となる、最も処理能力の低い工程のことです。受付や各検査項目のどれが制約になっているかを特定しない限り、根本的な待ち時間削減は難しいです。

一般的な健康診断では、測定に時間のかかる視力検査や心電図がボトルネックになりやすいと言われています。しかし、当社の健康診断会場で状況を観察した結果、意外な事実が判明しました。
受付開始後わずか20分で、血圧測定の前に長い列ができあがっていたのです。血圧測定は通常2回の測定で済み、スムーズに進めば視力検査よりも早く完了します。にもかかわらず列ができていたのは、「計り直し」が必要な、または図り直しを希望する受診者(従業員)が多かったためと推測できます。
この事例から、一般的に言われるボトルネックではなく、「自社の受診者の傾向」や「特定の工程で発生する再測定やイレギュラーな対応」こそが、真のボトルネックになることが分かりました。一般論に頼らず自社の受診者特性と現場データを分析することが重要だということです。

当社は待ち時間と会場滞在時間(受診者の平均所要時間)を減らすため、運営面の改善とレイアウト設計の見直しという二つのアプローチを提案しました。
混雑と待ち時間の原因は主に、(1)受付で人数制限をかけずに入場させていること、(2)検査順が変動可能にもかかわらず、空いている検査項目へ誘導していないことにありました。
(1) 受付で人数制限を行わず一斉に入場させている
(2)検査順が柔軟であるにもかかわらず、空いている検査へ誘導していない
この問題に対し、以下の対策を実施しました。
⇒ 会場内の同時滞在人数を制御し、各検査ブースの処理能力を超えないようにする。
⇒ 血圧測定などの混雑状況をリアルタイムで判断し、空いている検査ブースへ受診者を分散誘導する。
誘導による受診者の分散は、受診時間自体を短縮するわけではありませんが、待ち人数を会場内に適切に散らすことで、混雑によるバッファー機能(変動を吸収する余裕)を確保し、受診者の心理的なストレスと混雑の波を緩和する役割を果たします。
最も効果が大きかったのは、会場レイアウトの目的を「(特設会場の)面積の有効活用」から「受診者の滞在時間最小化」へ転換したことです。具体的には次を重視しました。
・動線を滞在時間最小化で設計し、受診者が待たずに次の検査へ移動できる配置にする。
・再測定やイレギュラー対応が発生しやすい工程を前方に配置して、影響範囲を限定する。
・各検査ブースの処理能力に合わせた入場制御と組み合わせることで、全体の流れを平準化する。
(特設会場の)面積を有効活用するという視点から、「受診者の滞在時間最小化」に基づいたレイアウトを追求することで、「受診者を待たせることなく、最短距離(時間)で出口へ誘導する」ための最適な動線設計が可能になります。
滞在時間最小化の視点で各検査ブースの配置を見直すことは、結果的に人やモノの動きを最適化することにつながります。この考え方は、事務所のレイアウト改善や製造現場の工程改善にも応用できる普遍的な概念です。
健康診断の待ち時間短縮と効率化は、真のボトルネックの特定から始まります。職員の経験や勘ではなく、(1)診断現場のデータに基づきボトルネックを見つけ出すこと、(2)「滞在時間最小化」を目的に運営とレイアウトを見直すことが、受診者と運営側双方にとって最良の結果をもたらします。
健康診断会場で得た「ボトルネック特定」と「滞在時間最小化」の知見は、製造現場にも流用でき、企業全体の生産性向上に直結します。ムダな待ち時間や非効率な動線を削減することは、事務所レイアウト、製造工程、情報システム設計など幅広い領域で価値を生みます。
あらゆるビジネスの課題解決に応用できる、アドガワエレクトロニクスの根幹となる課題解決能力です。
今回の健康診断の事例のように、貴社が抱える「なんとなく非効率」な現場の課題はありませんか?
アドガワエレクトロニクスは、単なる作業受託にとどまらず、現場の状況を可視化し、最適な設計思想と改善プロセスをもって、お客様のビジネスのボトルネックを解消するお手伝いをします。従業員満足度と業務効率を両立させる次の一歩を、私たちアドガワエレクトロニクスと一緒に踏み出してみませんか。
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関西・近畿を拠点に、プリント基板・電子部品調達〜基板実装(表面実装〔SMT〕、挿入実装〔THT〕)、コーティング、エージング試験、電気機械器具組立までを一貫提案するアドガワエレクトロニクスです。
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