オフィシャルブログ

【基板分割の品質向上】ルーターカッターの優位性と治具内製化3つのメリット2025.11.12

こんにちは。アドガワエレクトロニクスの公式ブログへようこそ。

 

基板分割の要:ルーターカッターの優位性と専用治具内製化で実現する高品質

 
プリント配線板(PWB=printed wiring board)に電子部品が実装され、いよいよ電子回路として動き出すプリント回路板(PCB=printed circuit board、以降「プリント基板」)。しかし、製品として出荷される前に、避けて通れない重要な工程があります。それが、プリント基板の「分割」です。

 
電子部品が実装された分割前のプリント基板(PCB)

 
この分割作業のなかでも、品質を最優先されるお客さまに強く求められる基板分割機(ルーターカッター)と、その性能を最大限に引き出す専用治具(じぐ)の役割、重要性を解説します。

 
ルーターカッターで基板分割を行う専用治具の接写

 

ルーターカッターがVカットより優れている理由と技術的詳細

生産効率を高めるために小さな基板は通常、1枚の大きなシートに複数並べられた状態(面付け)で部品を実装します。

 
生産効率向上のための面付けされたプリント基板シート

 

 
実装完了後、これらの基板を1枚ずつ丁寧に切り離すのが、基板分割機(ルーターカッター)の役割です。

 

 
複雑な形状に対応する基板分割機ルーターカッター

 

ルーターカッターが選ばれる理由

ルーターカッターは、高速回転するルータービットで基板同士の接続部を削り落として分割します。Vカット方式と比べて、ルーターカッターが選ばれるメリットがあります。

 

反り・ねじれが少ない

基板の表面にV字の溝を入れて手で割る、またはV字の溝にカッターの刃を走らせる「Vカット方式」と比べ、分割時の反りやねじれによる基板への負荷を低減できます。

 
Vカット方式の基板分割とルーターカッターとの比較

 

曲線など複雑な基板形状に対応

直線的なカットに限定されるVカット方式に対し、ルーターカッターは曲線カットが可能です。円形基板を始め、複雑な形状の基板分割にも対応できる汎用性の高さが特長です。

 

高品質分割に「必須」! 専用治具の役割

高性能なルーターカッターをもってしても、分割後の基板品質を安定させるためには専用の治具が不可欠です。

 
ルーターカット時の浮き上がり・ズレを抑制する専用治具

 

治具とは何か?

治具とは、部品や工具、そしてプリント基板がずれないように誘導・固定する補助工具のことです。

 

 

ルーターカット時の治具の機能

ルーターカット時の治具の機能は、ルーターカッターでの作業中に基板が動かない(ズレない)ように固定することです。

 

正確な位置決め

基板の位置をミリ単位で正確に定め、ルータービットで削るための最適な状態を作ります。

 

浮き上がり・ズレの抑制

高速で回転するルータービットが基板を削る際、基板が浮き上がったり、わずかにズレたりするのを確実に抑え込みます。

 
ルーターカッター作業中に基板を正確に固定する治具

 

 
治具を導入することで、作業者による精度のバラツキを防ぎ、常に安定した品質を保ちながら、作業の速度と効率を向上させることができます。

 

【当社の強み】治具の内製化が生む3つの具体的なメリット

ルーターカットに用いる治具は、分割する基板の形状や仕様に合わせて一つひとつ設計・制作する必要があります。アドガワエレクトロニクスでは、この極めて重要なルーターカット用治具の設計・制作を自社内で一貫して行う(内製化)体制を構築しています。

 

治具の内製化から生まれる、お客さまの製品価値を高める3つのメリット

迅速な対応力

基板の設計変更(アートワークの変更)が生じた場合でも、外部業者への依頼プロセスを省き、迅速に治具の設計改良を行うことができます。手戻りの時間を最小限に抑え、開発スピードを加速させます。

 
治具設計変更に迅速に対応する内製化体制の作業風景

 

品質とリードタイムの改善提案

治具設計の知見を内製化することで、治具そのものの品質向上につながり、それが作業者の使いやすさ(切り替え時間の短縮)に直結します。さらに迅速な対応力は、お客さまへの納品までのリードタイム短縮という具体的な提案にもつながります。

 
品質向上とリードタイム短縮を実現するルーターカット用治具

 

コスト効率の最適化

試作段階での治具の調整を迅速かつ柔軟に行えるため、開発コストの抑制に貢献します。また、量産後も継続的な改善やコスト圧縮を自社内で行うことが可能です。

 
 
関連情報

本記事の内容をさらに深く理解するために、ぜひ以下の関連記事もご覧ください。治具制作に関連するトピックや、より包括的な知識を掲載しております。

部分塗布で失敗しないための治具設計とコーティング処理の実務ポイント | アドガワエレクトロニクス株式会社

プリント基板の部分塗布コーティングで失敗していませんか? 治具設計の基本から、ポカヨケ、素材選びまで、アドガワエレクトロニクスが実践する実務ノウハウを完全解説。品質向上とコスト削減に役立つ情報満載。

部分塗布の精度を高める治具設計とコーティング処理の実務ポイントを解説する技術ブログ

 

基板分割の品質と効率を最大化する「ルーターカッター」と「治具の内製化」

 
本記事では、高精度なカットを実現するルーターカッターの優位性と、品質を維持するのに不可欠な専用治具の役割を解説しました。

 
ルーターカッターは、基板分割時の反りやねじれといった負荷を抑え、曲線を含む複雑な基板形状に対応できる汎用性の高さが特長です。そして、この高性能を確実に成果につなげるのが、浮き上がり・ズレを抑制する専用治具の存在です。

 

治具の内製化から生まれる、お客さまの製品価値を高める3つのメリット

迅速な対応力

基板の設計変更にも迅速に対応し、開発スピードを加速。

 

品質とリードタイムの改善提案

治具内製化の知見に基づき、品質向上とリードタイム短縮を実現。

 

コスト効率の最適化

試作段階から量産後まで、継続的な改良(カイゼン)でコスト抑制に貢献。

 
高品質な電子製品の実現には、高精度な基板分割技術が不可欠です。アドガワエレクトロニクスは、ルーターカッターの運用と治具の内製化という確固たる強みで、お客さまの製品価値の最大化をサポートいたします。

 
ルーターカット用治具の内製化に関するご質問や、お客さまの製品に合わせた最適な基板分割方法についてのご相談など、お手伝いできることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

 
お問い合わせ
https://www.adogawa.co.jp/inquiry/

 
 
 

製品開発のスピードと品質を両立するための必携資料! アドガワエレクトロニクス「技術ハンドブック」ダウンロード

 

製品企画・設計に集中したいのに、こんな課題をお持ちではありませんか?

・試作から量産への移行でトラブルが多い
・委託先(基板実装会社)との意思疎通に時間がかかる

その結果、製造コストが膨らむ

 
アドガワエレクトロニクスがまとめた「技術ハンドブック」には、基板設計・実装におけるコストダウン事例や品質向上のノウハウを多数掲載。量産を前提とした試作の進め方や、VE提案による改善事例もご紹介しています。

 

技術ハンドブックには、

・量産時の失敗コスト削減
製品価値を高める改善提案のヒントを獲得
・基板実装 委託先選定の判断材料 といった実践的な事例を掲載しています。

 
技術ハンドブックを、製品開発の加速とコスト競争力強化に、ぜひお役立てください。ダウンロードは、⇒ 特設サイトから

 

 
 

プリント基板の表面実装・挿入実装、電気機械器具組立のアドガワエレクトロニクス|関西・近畿・滋賀

 
アドガワエレクトロニクスは滋賀県高島市を拠点にする会社です。プリント基板・電子部品調達〜基板実装(表面実装、挿入実装)、コーティング、エージング試験、電気機械器具組立まで、関西・近畿一拠点・自社工場で一貫生産体制を整えています。SNSやブログでは、アドガワエレクトロニクスが製造現場で培った技術や品質管理の取り組み、人材育成、最新の業界動向をわかりやすく発信しています。

 
会社概要
https://www.adogawa.co.jp/company/

表面実装サービス紹介
https://www.adogawa.co.jp/mounting/serface/

最新記事一覧
https://www.adogawa.co.jp/blog

お問い合わせ
https://www.adogawa.co.jp/inquiry/

 
 
 

過去のSNS投稿ダイジェストは、こちらからご覧ください。

 
SNS投稿ダイジェスト 一覧

 

 

 

 

 

事例について詳しく聞きたい方は
お問い合わせください

担当者から御社に最適なご提案をさせていただきます。

サンプル申し込みやご相談もお気軽にお問い合わせください

お知らせ

keyboard_arrow_up
ページ上部へ

〒520-1217 滋賀県高島市安曇川町田中2668
TEL:0740-32-3333 FAX:0740-32-2355

メールマガジン登録案内